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RICK OWENSINTERVIEW BY CONNIE WANG PORTRAIT BY OWENSCORP
リック・オウエンスのレザージャケットを着た人で私が最後に見たのは、マニキュアを塗った長い爪でプラチナブロンドの髪を掻きながらマイアミのリンカーン・ロードの歩道に立つ女性だった:『パレロワイヤル』シリーズのジャケットの下にスパンコールのついたヘビ革のミニワンピを合わせ、足下にはニーハイのピンヒールブーツ。そしてファージャケットの襟にタバコの灰を雨のように降らせていた。バカバカしいけれど、美しい光景。そしてそれは“現代における贅沢”を定義づけているかの様でもあった(50万円もするジャケットがタバコの灰で汚れても気にならないなんて、それ以上の贅沢はない)。当のデザイナーはコレを聞いて、きっと納得するにちがいない。 リック・オウエンス。デザイナー本人もそのコレクションも、型破りの雰囲気を静電気さながらにビリビリと放出させている。このブランドのスタイルは破壊的であると同時に保守的だ。尖ったストリートキッズのユニフォームである反面、パリの編集者のあいだではエリートの証でもある。彼自身は広告や宣伝を否定しているにも関わらず、グランジでグラマーなそのスタイルは、時代を越えたスタイルを求める人たちやステキなジャケットを求める人たちを電気虫取り器に寄せ付けられるハエの様に惹き寄せてはノックアウトさせてしまう。 今回、キズだらけの彼のカラダや『ロード・オブ・ザ・リング』に出てくる妖精・レゴラスがゴスに走ったかの様なそのヘアスタイル、それから自分が如何に自分勝手なクソ男かということについてViceに語ってくれた。 Vice:まず最初に一番大事な質問をさせて。あなたは驚くほどマッチョね。というか、筋肉がまるで彫刻のようにカンペキなカタチをしているというか、鍛えられている。コレはどうしてなの? リック・オウエンス:服にはあまり関心がないんだ。だから、決まった上下をユニフォームの様に何年もずっと着ている。ブラックのスエットパンツにブラックのバギーショーツを重ね、ブラックかホワイトのコットンTシャツの上にブラックのカシミア・シャツを着る。毎日服を着替えたり、ジムへ行くたびにいちいち着替るなんてことは想像もできないね。 じゃあジムにも同じ格好で行くの? この服でジムにも行くし、スタジオで仕事もするし、上にミンクのコートを着てディナーにも出掛けるさ。 服を気にすることよりもカラダを鍛えることの方が大切ってこと? 体を鍛えるってのは、中毒性をモノスゴく秘めた行為なんだ。運動による快感は、若い頃のモッシュピットやその後ハマッたセックスクラブに取って代わるモノとなったよ。運動というのは、“鍛錬”や“感情の解放”、あるいは“めい想”や“空虚感”といった様々な要素が絶妙に組み合わさった行為なんだ。運動しているときに聴く音楽は、それまで経験したことないくらい良く聞こえる。そして筋肉を鍛えるにつれ、ハラの中にまで流れ込んでくる様になるんだ。 まるで詩のようね!ところで先シーズンのテーマは“セクシーな修道女”で、先々シーズンは“直線的な構造”、そして4シーズン前は“毛深い石器人”と、これまで色んなテーマを経ているRickOwensだけど、2009年の秋コレクションは具体的にナニからインスピレーションを得るつもりなの? コトバで表すとしたら“crust(堅い外皮)”かな。過剰なほど固い質感を考えているんだ。 それってどういう意味? “保護層としての堅さ”だよ。コレは、服というモノが如何に脆弱かをオレに考えさせてくれたテーマなんだ。それをどうするかってトコまでは、まだ考えていないんだけどね。実際、そういうのはたいてい後になって分かるモノだからさ。コレクションが終わってみて初めて、それがどこから来た発想だったのかを分析できる。だからそれまではあまり考えないようにしているんだよ。 あなたは動物や動物の特徴からインスパイアされることが多いみたいね。コレクションでも動物の素材を多く使っている。 オレになにか訴えてくる様な、根本的な関連性がそこにはあるんだろう。とりわけ動物たちがエレガントなモノへと変えられ、洗練された時にね。オレは“transformation(変化)”というテーマが好きなんだ。 髪の毛を切ろうと思ったことはないの?あっ、別に切って欲しいワケじゃなくて、ただ訊いているだけよ。どうか切らないで。 切ることはないだろう、“クモの巣のリース”みたいになっても構わないからね。 もしどんな素材を使ってもイイとしたら、ナニを素材として使ってみたいと思う?毛皮や皮革に対する縛りや、“物理的に不可能”とか“稀少すぎて手に入らない”とかは無視したとして。 次のコレクションで動物のツノを使うため、或る男と一緒に仕事をしている。ビンテージカーのカスタマイズ向けに骨製のハンドルを作っている彼のアトリエには、山の様に積み重なった象牙が置いてあるんだ。それを使って家具を作ってみたいね。オレは家具を服の延長として考えているんだ。あとは……ハクチョウの綿毛なんかもスゴく魅力的だね。 パリでの生活は、ロスでのそれよりもあなたのデザインに多くの影響を及ぼしている様に見受けられる。実際はどうなの? ああ、そうだね。パリでの生活はオレのレベルを引き上げてくれたよ。邪悪さと紙一重の上品さがココにはある。それでもオレは概してニューヨーク・スタイルの方が好きだけれどね。オレの目から見て、ニューヨークの方が簡素なんだ。でもオレがデザインする時に思い描いている都市は恐らく、ル・コルビュジェやルイージ・モレッティがデザインした街に近いかな。 あなたのファッションスタイルを音で喩えるとしたら、なんだと思う? 重機モーターが低くうなる音。 カンペキね。じゃあもし昔から存在する高級ブランドを完全に手直しできるとしたら、どのブランドを選ぶ? 正直なところ、オレが唯一惹かれるのはRevillonくらいだ。 でもRevillonではもうやったでしょ? ああ、でももう二度とそういったことはしないと思うよ。別にイヤミで言ってるんじゃない、Revillonではイイ体験ができたと思っているしね。しかしだな、オレ自身が今現在すでに自分のブランドを持っているのに、どうして今さら誰かのブランドのために努力しなきゃいけないんだ?そうだろ? あなたは自分のことを実用主義のデザイナーと表現していて、自分がデザインした服をランウェイで見せることよりも実際に店舗で売ることの方が大事だと言っていた。それじゃあなぜ広告を出さないの? 広告というモノは、オレが求めている以上に購入客を深いトコまで引きずり込もうとするからね。オレは今でも十分やれていると思うし、安定したペースで、しかしモチベーションを高めるには十分な早さでこのビジネスも成長している。それに、広告というのは、ショーと同じくらい大変な仕事であると同時に膨大な労力のかかる作業だ。ひとたび始めたら永遠にやり続けなきゃいけない。実を言うと、最初はショーすらやるつもりはなかったんだ。 あなたが開拓した“ゴージャスな怪しさとドラマティックなルックス”のスタイルに、ファッション界は今ごろ追いついたってカンジがする。アメリカ中西部の母親たちがあなたのレザージャケットを着たり、学校でもオシャレなコたちがChristianLouboutinの代わりにRickOwensのレザーブーツを履く様になった。その美しいまでにダークなスタイルを長いことやってきたあなたにとって、自分のスタイルが今注目されているのはどうしてだと思う? ブランドを始めた当初、“ドラマティックで極端なファッションはランウェイか特別な時だけのモノ”という現実にオレは憤りを感じていたんだ。そこで、グレーといった“毎日の生活に溶け込める中間色”で極端なシルエットの服を展開することによって、そういった既成概念をブチ壊したいと思った。今になって一般社会がそれを取り入れ始めている気配は時々するものの、自分の考えが受け入れられたのは信じられないと思うこともある。まあオレがいなかったとしてもいずれは自然とそういった流れになっていたとは思うが、オレにもその手伝いが少しは出来たんじゃないかな。 子どもの頃のリックってどんなカンジだった? 子どもの頃のリックは弱虫だったね。 十代のリックは? 十代の頃のリックは、自分を自堕落な人間の様に見せるのに夢中だった。 じゃあ、年老いたリックは?どんな風になると思う? 年老いたリックは、ホントに自堕落になるだろうね。 ヒールのクツについて訊いておかなきゃ。履き心地はイイの?RickOwensのハイトップが大好きなスニーカーマニアの友達たちがいるんだけど、あなたが男性向けヒールを作っていると知ってショックを受けていたわ。 おっと、ソイツらはKissの「Detroit Rock City」って曲を知らないのか? ロスでのあなたの生活はまるで、ファンタジーのキャラとドラッグとお酒に溢れたおとぎ話の様だったけれど、私たちみたいな一般人からしてみたら、今でもそんな生活をしている様に思えるわ。ブルボン宮殿の側の5階建てのマンションに住んでいて、あなたの姿形をした“しょんべん小僧”が置いてあって……リック・オウエンス伝説のロス版とパリ版とではなにがどうちがうの? おそらく、そんなに変わったトコはないね。ジム通いと家での仕事、それから近所での晩御飯という行動をグルグル繰り返す日々だしな。遅かれ早かれ、いつもの顔ぶれもパリに揃うだろうし、それ以外は前よりも旅へ出ることが多くなった程度さ。 最後の質問。あなたにとって一番の欠陥は? “自分勝手なクソ男”だってことだ。 じゃあ長所は? 自分で自分のことを“自分勝手なクソ男”と理解しているトコだね。 ![]()
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