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EMPLOYEE OF THE MONTHVice USを印刷している会社のVice担当の男
Viceを印刷しているのは一体ダレなのか、オレたちはいつもそのことが気になっていた。今までで唯一分かっていたのは、彼らがカナダの地方に位置するとてつもなく巨大な部屋で働いていて、毎月たくさんのViceを郵送してくれるってコトだけ(とは言ってもコレはアメリカ版での話で、日本版は三鷹で刷られている)。 どうやらフィリップ・パリスという男がVice担当だという情報をゲットしたオレたちはさっそく彼に電話をし、今月号のEmployees of the Monthにめでたく選ばれた旨を伝えた。すると、この物静かなフランス系カナダ人はエラく驚いたそうだ。Viceを毎年12回印刷するのがどんな気持ちか、彼に聞いてみた。 Vice:やあ、フィリップ。今日は朝からどんなカンジ? フィリップ・パリス:今のところ、とてもイイ一日だよ。全てがうまくいってる。 朝食は何を食べたの? 『レーズン・ブラン』ってシリアルとバナナ。こんなコトも雑誌に載せるの? ああ。アホみたいにシャレた食事をしてるヤツだったらムカつくから、一応確かめとこうと思って。じゃあ昼ごはんは? 『サブウェイ』でフットロングのコールドカット・コンボサンドを食べたよ。 ソースはなにかつけたの? サウスウエスト・ソースをつけた。おいしかったよ。 まあイイ、合格だ。次へ進もう。Viceを印刷する会社でのキミの役割と、今の仕事に就いたきっかけを教えてくれ。 ボクは印刷機の監督を担当していて、ココで働いて2年になる。その前はモントリオールの大学で経営学を学んでいたんだ。 じゃあ一日中、人にイバりちらしてるのか? ていうか、もしかして人に任せっきりでインクで紙に印刷をする作業のことなんてコレっぽっちも知らないんじゃない? いや、それはないよ。今まで印刷機に関してたくさん勉強してきたからね。もう1人、マイケル・ヴェジナっていう印刷機操作の監督が実際の技術的な作業をしてくれてるんだけど、ボクは毎日彼と現場に居合わせていなきゃならない。この2年間、彼を一番頼りにしてきたから、今にしてようやく…… ようやく彼をクビにできる? そんなワケないだろ! 絶対クビになんてできない(笑)! ボクたちはすごくイイカンジのチームワークなんだから。 あっそう。で、今日は何をしてるの? 印刷機に差し水をして点検作業を行ってる。この作業は、印刷がスムーズに行くように平版をキレイにするといったモノなんだ。 うわー、つまんなそう。ところで仕事は好き? もちろん大好きさ。印刷業っていうのは、毎日関わる内容がコロコロ変わるからね。毎日決まりきったことをやらなきゃいけない仕事とは全然ちがうんだ。 初めてこの会社の面接を受けて「あ、ちなみにココではViceマガジンを印刷してるんだ」って言われた時、Viceのこと知ってた? あっ……えーと、知らなかった、かな……ゴメン。 じゃあ今現在、Viceをどう思う? とてもイイカンジの雑誌だと思うよ。ちょっと、いや、相当変わってるよね。みんなViceが好きだよ。 毎月読んでる? うん。 じゃあ、最近読んで気に入った号とか記事はナニ? うーん、そうだなー。えーと……いろいろあるけどなかなか思い出せない……。 ……怪しいな。 実はボク、スポーツ雑誌が好きなんだ。 キミ、“ジョック”なのか? えっ? “ジョック”ってナニ? ホラ、スポーツ好きなのかってコトだよ。 ああ、そういうことね。実はボク、以前はケベックのジュニア・ホッケーのメジャー・リーグ選手だったんだ。ケベック・ロンパールっていうチームの右翼手だった。 今までViceが締め切りを遅れたとか、印刷し始めてからミスを発見したとかで、そっちをキレさせたことあったっけ? Viceがあまりにも自分勝手なことをしたからムカついて広告ページを全部白紙にしてやろうとか企んだことない? 正直に答えて。 ボクが覚えてる限りでは、そういうのはなかったかな。そういうことはボクよりもViceのカスタマーサービス担当に聞いた方が早いと思うよ。 例えば見開きの表紙を作らせたり、Viceロゴにアルミを使ってくれとかよく頼んでるけど、それってメチャクチャ面倒だったりするの? まあね。でもこちらとしては出来る限りどんなリクエストにも応えたいと思ってるよ。全てはお客様のための作業だからね。でもたまに、テキトーにやってみたらあんまりうまくいかないこともあったりはしたかな。 キミの印刷場では他にどんな雑誌を印刷してるの? いろいろさ。『Maine Home Design』っていう、すごくクールな雑誌も印刷してる。 じゃあそのMaine Home DesignとVice、どっちが面白い? まあ、それはもちろんViceだよ。ちなみにFaderの印刷も担当してるんだ。 そうなんだ。じゃあ「デヴェンドラ・バンハートを3ヶ月に一度の頻度で表紙に載せるのはいくらなんでも捻りがなさすぎだろ」と言っといてくれよ。 ……。 キミ、デヴェンドラ・バンハートは好き? えっと……ダレだっけ? ホラね! ところでさ、今まで現場のド真ん中に仁王立ちして「印刷機を止めろ!今すぐ止めるんだ!!」とか声だかに叫んだこととかある? ああ、あるよ。印刷がスタートした後で、印刷機の担当のミスが発覚することが時々ある。そしたら一度印刷機を止めて修正しなきゃならない。だからボクが拡声器を使って、止めてもらうように頼むんだ。一応ボクは品質管理担当だし、クライアントのことを現場の誰よりもよく把握してるから、たとえ印刷担当者が問題ないと主張してもボクが口出ししなきゃならないこともある。 実は前に一度、Viceの一号丸ごとをパソコンなしで作ろうとしたことがあるんだ。そしたらお宅がうちのパブリッシャーに“昔のような印刷方法はもう出来ない”って言ったらしいけど、ソレってウソだったりする? うちのパブリッシャーは本当にキミんとこに相談したのかな? 例えば地下室に“元祖印刷機”みたいなのが眠ったりしてないの? そうだね、近頃の印刷機は全てパソコン上で操作してるから難しいかも。印刷の前行程ですらもね。社内のどこかに古い印刷機があるハズだけど、アレはフォーマットが小さいし質も悪いから、Viceをソレで印刷するのはオススメしない。それと、キミたちのパブリッシャーが本当にうちの会社に相談してきたのかということに関しては、やはりカスタマーサービス担当者に聞くべきだ。 ありがとう、フィリップ。今度ケベックのスコット辺りに来ることがあったら、ラバットを一杯とプーティンをご馳走してやるよ。 ああ、ソレはイイな。ありがとう。それじゃ、良い一日を。 INTERVIEW BY ROCCO CASTORO
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