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I HATE FASHION


「胃が空っぽで口臭がヒドい連中にセンスについて説教されるのなんてゴメンよ」

BY TRACIE EGAN

マメとタコとキズだらけの私の足を見て、なぜ私がファッションの名の下で値段もヒール(12センチ以上)もバカ高い靴をこんなに苦しんでまで履くのかと思うでしょう? でもそれは決して私のせいじゃないの。ファッションの犠牲者を否定しないで。ファッションそのものがいけないのよ! 勘違いしないで、私は靴も服もアクセサリーも大好きなの。ただファッションという概念がキライなだけ。矛盾しているように聞こえるかもしれないけど、違うのよ。だってビジネスや業界としての“ファッション”なんて、実際は服や靴やアクセサリーとは全く関係のないものなんだから。業界の人間に同じ質問をしたら、彼らはきっと横柄な態度で「ファッションとは“表現”であり、“フィーリング”である」だなんてホザくんじゃないかな。

実際、彼らは間違ってない。高級品を身にまとった極細モデルばかり露出しているファッション誌は、私が貧乏でデブだということを“表現”し、その結果私はすごくイヤな“感覚”を覚える(ちなみに、なぜペチャパイの少年みたいなモデルばかりが横行しているかと言うと、彼女たちを選んだ業界人が全員ゲイのオッサンで、女性を“歩くハンガー”としてしか見ていないから)。自分の貯金や、口に入れる食べ物の量が人間としての価値に比例するだなんて、考えただけでも恐ろしい。

デザイナーから、何が良くて、何が悪くて、何を目標に生きていくべきかを命令される筋合いはない。しかし、多くのケースにおいて、デザイナー自身が諸悪の根源というわけではない。どちらかというとエディターやスタイリスト、プレス、そして“ポッシュ・スパイス”みたいな、自分の地位をなんとかキープするためにファッションのトーテムポールにしがみつくクソッタレどものせいだと思う。彼らこそが、ファッションの尊大なアイデアや理論上の幻想を悪夢のような現実にしてしまった人々。私はこういった人々と何度か遭遇しているけど、それは今でも忘れられない経験。

以前、私は大きなアパレル会社のためにトレンド・コンサルタントの仕事をしていた(ものすごく短い間だけど)。そこで私は、毎日メッシュのシャツ姿で仕事に現れ、腕にタトゥーの入ったサドのホモ野郎に泣かされた。彼は時々私の二の腕を見ては、ちょっと締まりが悪いから雑誌のバックナンバーの入った段ボールでも片付けてこいと言ってきたり、テレビや雑誌に出ている女性を「太い」といつも批判していた(太いと言ってももちろん、私から見れば全員ガリガリ)。

毎朝スタッフが事務所入りし、デスクに座ると、彼は一人一人にその日の服のブランドを聞いて回った。そんなワケだから、みんなそれなりに高収入を得ていながらも、毎朝ドレスアップしなければならないプレッシャーがすごくて、結局高級ブランドの服にお金が飛んでいき、ギリギリの暮らしを強いられていた。私が泣いたのは、事務所のある女の子の誕生日だった。“ハッピーバースデー”を歌ったあと、ホモ野郎がティラミスを運んできた。私はティラミスがちょっと苦手だったから自分の分を断ると、彼はすかさず「あら、今さらダイエット?」とかなんとかホザきやがったの。で、私は泣いちゃった。あのクソッタレ、名前なんだったっけ。

またある時、ジェレミー・スコットがハッピー・ヴァレーというクラブがリニューアルオープンして間もなく、私は当時働いていた『Bust Magazine』の関係でゲストリストに載せてもらうことになった。ドアまで行くとそこにはクリップボードを持った、なんだかよくわからない風貌の人が立っていたの。まるでドラッグクイーンのマネをしている女性のような、男だか女だかわからない感じの人。とにかく私は、彼女と一緒にいた男性に自分の名前と所属雑誌名を伝えたんだけど、その女は首を振り、他の人たちを先に通していったの。で、隣にいた男は「え、でもリストに名前載ってるじゃん」って言うと、彼女は私のことを上から下までジロジロと見定めた上で「だってこの子、ただのパンピーじゃない!」ってすごい大声でシャウトしたの。まあ確かに私は有名人でもなんでもないけど、だからと言ってここはスタジオ54でもないし、何様? って感じだった。しかもそのアマ、ろくに服も着てなかったのよ。レオタードとタイツだけ。きっと彼女はイカレた頭の中でいつしか、“ファッション=他人をこき下ろすこと”なんていう風に関連づけてしまったんじゃないかな。

最終的にファッションは、毎日ろくに食事もしていないような人々の不安から形成された市場なの。でも私はハッキリ言って胃が空っぽで口臭がヒドい連中にセンスについて説教されるのなんてゴメンよ。

でもそこが問題なの:センスなんてしょせん主観的なものにすぎない。だから商品であれ食べ物であれ、果たして何がセンスが良くて何が美味しいかなんて疑問に対してカンペキな答えはない。私がファッションを嫌う理由の一つは、表面的な部分ばかりが浮き彫りになって“なぜ”という理由付けがおろそかになっているから。でもだからこそ、私はマゾのようにあのバカ高いハイヒールを毎日履いているの。それは人気デザイナーによる高級な靴だからってワケじゃない。私がそれを履くのは、単純にオシリがキレイに見えるから。

トレイシー・イーガンはファッション業界や有名人をバカにする面白いブログjezebel.comの編集者。

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