DOS & DON'TS




THE CREATORS PROJECT - SPIKE JONZE










PHOTOS AND INTERVIEWS: MISHA GALUSTOV COORDINATION: ALEXA KAROLINSKI




80年代、2つのエイズの波がアメリカとヨーロッパを襲った。最初に来たのは、感染したら死んでしまうというエイズという病気そのもの。そして次に襲って来たのが、大量の情報、統計、論争、そしてウワサの波。それから20年ほど経った現在、高卒以上の人間で、感染率、抗レトロウイルス薬、そして何より感染しない方法について全く知らないヤツなんて世の中にいないと言っても過言じゃない。でも、誰も何もわかっていない場所が一つだけある。どこかわかるか? ロシアだ。

 ロシアの人々は同じ食べ物を口にしただけでエイズになると思い込んでいる。そのため、ほとんどのHIV陽性患者は、親戚、友達、そして同僚たちからこの病気を隠すことを余儀なくされている。それは不名誉だからとかじゃなく、バレたら会社をクビにさせられたり、仲間外れにされてしまうからだ。まるで魔女狩りのようなこの風土に充満する恥、無知、誤報、そしてショッキングな愚かさのせいで、ロシアは現在世界で最もHIV感染率が伸びている。2005年、ロシアには94万人のHIV患者がいたが、ユニセフはうち16万人が出産中に母親から感染した子どもたちだと見ている。

 昔からロシアでは、HIV感染した母親は出産後に子どもを捨てることが多い。もしくは、子どもがHIV陽性だということを隠す。ロシアにある数多くの孤児院のうち、HIV陽性の子どもを扱っていると正式に名乗る施設は一つもない。そこで、我々は実際にロシアの孤児院に行き、どういう仕組みになっているのかを見てみることにした。5つの孤児院に追い返され、ガードマンにカメラを没収されたため、何時間も汚らしい警察署に居座るハメになったが、やっとのことで、質問に答えたり写真を撮らせてくれる施設にたどり着いた。

 その施設はモスクワから280キロほど離れたウラジミール地域にあった。高い塀に囲まれたソビエト風の単調な建物で、門には犬がいた。私がそこに入れた理由はNGOのボランティアを同行していたから。HIVに感染している子どもたちが8歳になって専門医療施設にいられなくなり、この施設にやって来るというのは有名な話らしい。この孤児院では、HIVに感染している子どもたちも他の子どもたちと一緒に暮らしている。インタビュ−した子どものうち、誰がHIV感染患者なのかわからなかったのだが、実は子どもたちにもそれは知らされていない。



Vice:今日の気分はどう?
セリヨーザ(7歳)/右:
すごく元気。さっきお昼ご飯を食べ終わって遊びたいんだけど、看護師さんたちに30分待ちなさいって言われた。その方がお腹に良いからだって。

そうだよ、お腹が痛くなっちゃうじゃない。ここにはいつからいるの?
あまり長いことはいないよ。数ヶ月くらい前。

その前はどこにいたの?
他の孤児院。でもそこはあまり好きじゃなかった。他の子たちと仲良くなれなかったし、看護師さんも優しくなかった。あと、病気の子どもがたくさんいた。

何の病気だったの?
よくわからない。看護師さんも教えてくれなかった。

あなたも病気なの?
毎週注射とか薬をもらうけど病気じゃないよ。何でもできる。病気だとずっとベッドで寝てなきゃいけないけど、僕はそうじゃない。

なぜ薬を飲まされるか知ってる?
病気にならないため。冬は病気になりやすいって看護師さんが言ってた。

HIVって聞いたことある?
ない。

両親のことは知ってる?
去年お母さんに会った。お父さんは知らないけど、出張が多くて忙しいビジネスマンだってお母さんが言ってた。

お母さんとはよく連絡をとっているの?
誕生日に電話をくれたよ。

すごいじゃない、なんて言ってた?
「誕生日おめでとう」って。あと、僕に幸せかって聞いた。それと、お母さんは今病気だって言ってた。

何の病気?
治すのが難しい病気で、どこか違う場所に引っ越すから、もしかしたらもう会えないかもって言ってた。

CONTINUED:
RUSSIAN ROULETTE
| 1 | 2 | Next>