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DOS & DON'TS
THE CREATORS PROJECT - SPIKE JONZE
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どちらにしろ、オレは1日中何も食べてなくて究極に腹が減ってる。きっと今なら牛1頭でも2頭でもたやすく食べれるハズ。さまあみろ、インド人ども! あれ、違う。ざまあみろ、オレ達がインド人に劣ってると思ってる野郎ども! ゴメン、腹が減りすぎて頭が回らない。 まあそんな事はどうでもいい、とにかくオレは安く肉を提供してくれる田舎の食肉処理場に行き、クソ重い牛の頭と内臓を自宅に持って帰り、すぐさま調理にとりかかった。 脳みそ死んだ牛と共に車で帰る途中、オレはどうしても空腹が我慢できずそこら辺の高級フランス・レストランで牛の脳みそをオーダーした(こればっかりは処理場でも買えなかった)。15ドルもしたのに、まるで味気の無いスポンジのような感じだった(ちなみに残り物を冷蔵庫にほったらかしにしたら、肉味のアイスクリームっぽくなった。脳みそは冷やした方がウマイって事だな)。 腎臓このブクブクとした灰色と白の物体はホンモノの脳みそよりも見た目が脳みそっぽかった。インターネットで見つけたレシピに沿って腎臓を刻み、玉ねぎと炒めた。初めはちょっと臭みのあるソーセージの味がしたが、すぐさま牛の尿らしい酸っぱい味が口一杯に広がった。ありがとよ、腎臓め。 舌最初は面白がってこの超臭いヘンテコな塊で友達の頭を叩いたりして遊んでたのだが、茹でてみたらかなり縮み、テーブルに落とすと跳ね返るほど弾力があるゴムみたいな奇妙な物体に変身。相変わらず臭い。でも、実際に皮をむいて食べてみると、ニオイでは想像が付かないほどウマイのだ。判定:舌はおいしい! すい臓こいつは料理するのになんと4時間もかかったのだが、見た目、手触り、ニオイがすべてチキンの胸肉そっくりだった。味もチキンみたいだったらどんなに良かったことか。あいにく実際はケーキのもとにパン粉をつけてハンバーガーの肉汁で揚げたような味がした。 肝臓洗面台でこいつから血を1リットルほど絞ったら、親指を立てた熊の手のような形になった。ちょっと面白いだろ? だがボソボソした茶色い肉を一口食べてみると、やっぱりまずかった。レバーはいつ食ってもマズイ。 心臓心臓のレシピを見ると、どれも「まず心臓の周りに張り付いている血管をなるべく全て取り除くように」と書いてある。後で気付いたのだが、これは庭師に「芝刈りを始める前にとりあえず雑草を全て取り除いてから始めるように」っていうのと同じくらい不可能。結局、白くて固い血管がまだたくさんついてるまま調理するハメになったのだが、茹でてる間に血管の中の血が心臓の肉の部分にまで浸透し、結果は溶けたアルミで煮た半生のローストのようなシロモノ。 リブロース、Tボーン、サーロインのステーキステーキの味。当たり前か。 睾丸30分ほど「ヤベエ、無理だ、できねぇ」ってもったいぶったあげく、なんとか根性を振り絞ってこいつらの皮を剥ぎ、フライパンで炒めた。ちょっとホモっぽいかもしれないけど、言っちゃうぜ。牛の玉はウマイ! 頭頭顔があるからかもしれないけど、牛の体で、頭が一番親しみが湧く部分だった。だが、10時間ほどオーブンに放置したせいで、牛の顔の表面は黒く焼け焦げ、かなり見た目がヤバイ。ボロボロと落ちる焦げ目を食べてみると生のパスタの味がした。黒く焦げた部分を取り除くと、中は筋っぽい灰色の肉で、フォークで押すと肉汁とともにアホらしいほど大量の血が流れてきた。でもとりあえず味はステーキっぽかったから、頭蓋骨の周りの肉を取れるだけ食べた。 肉つきの骨肉を頭蓋骨から一生懸命ほじくっていたら、この骨を発見。一体これはなんなんだ? とりあえず顎が外れそうなほど固い肉を食べれるだけ食べてから、骨の中の骨髄も食ってみたいなと思い、骨を割ってみたが中は空っぽだった。 目玉目玉を取り出すのに、目の周りを30分ほど突いたり彫ったりした。更に目の後ろに繋がってるヌルヌルした神経の束を外すのに30分。次に、水晶体を破ると、お猪口1杯分の白い液体、同じ量の黒い液体、更には100円玉ほどの黒くて薄い塊が数個、そして巻き髭のようなものがついた灰色の塊が流れ出てきた。しかも全部焦げたインクのにおいがした。残った目玉をフライパンにのせた途端、ポンとはじけ、しぼんだ。だがどんなに焼いても目玉のヌルヌルは取れない。確かにヌルヌルしてた方が喉にすんなり流し込めたかもしれないが、口に入れた途端猛烈な吐き気がして相当ヤバかった。 尾最初、肉屋の野郎が間違えて尾じゃなくてリブステーキをくれたのかと思ったのだが、袋から一つ一つ出してみるとどんどん小さいリブが出てきて、最後にタンポンほどの厚さの肉が付いた極小の骨に辿り着いた。これをつなげれば尾になるってことか。コンロの前で突っ立ってるのに飽きたオレは、こいつらをデカイ鍋に放り込んでワイン煮を作る事にした。3時間後に戻ってみると、うれしいことに肉はいい具合に柔らかくジューシーになっていた。美味。 胃うまい尾をたらふく食べて気分が良かったオレの前に現れたのが、この生魚のような異臭を放つシロモノ。こいつを袋から取り出すと、すぐさまドロドロとした黄色い液体を吹きかけてきた。外側はウロコかサンゴっぽいものがたくさん付いていて、手を離すと四角い形に戻った(四角だぜ、オイ!)。さすがにこの不気味な物体を含むレシピはなかなか手に入らなかったのだが、唯一見つけたのが牛乳煮込みのレシピ。調理を始めるとアパート内は春先の中華街のような異臭が漂い、煮込み終わった胃はまるで1週間放置されたゴミのような味がした。しかも見た目と歯ごたえが異様にコンドームっぽかった。 皮人間ってのは絶望的な状況に陥り、死ぬほど腹が減った場合、とりあえず牛革の靴を食べるらしい(友達や家族を食べるのはそれから)。このドクターマーチンは若者に流行る前から履いてたものだから、下手すれば今の友達よりも愛着があるかも。どちらにしろ、さっき目玉を切るのに使った床屋のハサミをきれいに洗い、カワイイ靴から5cmほどの長方形を切り取った。それを1時間ほど尾の煮汁で煮てみたのだが、案外柔らかくておいしかった。ただ、歯の間に黒い糸のようなものが引っかかり、まるで黒髪のイタリア人女性のアソコを舐めた後のようだった。 肺と腸19世紀の移民の反対をよそに、食品医薬品局は70年代に牛の肺を“輸出限定”の肉と断定。それは、牛が住む農場は当然農薬を使うため、牛の肺が農薬まみれで食肉に向かないからだそうだ。だが幸いこれは人間に限る事で、スーパーに行けば牛の肺入りドッグフードなんかがすぐ見つかる。ラッキーだと腸だって少し入ってたりする。これを食べてからトイレに吐きに行く合間、自分が今何を口に入れたのかを当ててみよう。オレの推測だと、きっとスポンジっぽくて半分溶けたような四角い物体が肺で、スポンジっぽくて半分溶けたような丸い物体が腸だな。 ひき肉実はこれ、牛の足のハズだったんだけど、肉屋の話によると担当してたおっちゃんがうまい具合に足肉を切れなかったらしく、ムカついて他の肉と一緒にグラインダーに放り込んでタバコを吸いに出てっちゃったんだとさ。キチガイ野郎め。案の定、これはハンバーグそのものだった。 肩、トップ・サーロイン、尾肉のロースト牛との長い戦いを始める前、オレはこれでたぶん牛肉が嫌いになるだろうなと思った。きっと牛なんて一生見たくないほどムカつくだろうな、って考えた。不思議な事にそれ程ムカつきはしなかった。だが器に乗った3つの茹でた牛の塊を前に、オレはこいつらを食うべきか、それともミンチになるまで蹴っちまおうか、悩んだ。ってか、何の変哲も無い普通のローストなのに、さすがにここまで来ると相当食うのに苦戦したぜ。 骨 ![]() フィナーレなんだし、骨をかじって歯を割るくらいの勢いがなきゃダメだよな、って正直思った。だが、フルーツゼリーに含まれるゼラチンが実は牛の骨から出来てるっていう事実を、ちょうどいいタイミングで思い出しちまった。悪いね、卑怯で。あー、おいしかった。 . 24時間以内に牛一頭食っちまったのは確かに凄いと思う。でもそれより今ヤバイほど満腹だし、一体いつになったら手に染み付いた生肉の臭いが消えるんだろうって事の方が気になる。 あと、早く肉を片付けて、トイレでデカイ糞がしたいね。結構無茶をしたもんだから、ちゃんと消化されるかどうかが心配なんだ。でも今一番したいことと言えば、キッチンに散らばってる牛の体をこの手で粘土のようにグジャグジャにまとめること。きっと牛一頭分が自分の手の中に丸まってるなんて、最高な気分なんだろうな。牛の神様って感じ? なんてね。 あ、ヤベエ、脾臓食うの忘れてた。 DARREN GOLD 最新情報:食後の糞はかなりヤバかった。一瞬悪夢を見てるのかと思ったほど肉の臭いがプンプンする糞だった。 |