DOS & DON'TS




THE CREATORS PROJECT - SPIKE JONZE







Photos by some guy the author knows.






過食症ってやつはどうかしてる。私は過食症がどんなものかを知るために1週間ほどやってみたけど、奴らがどうやって生きているのかが理解出来なかった。

 7日間、私は倒れる寸前の生活を送り、愚痴を言ったり、電話で友達に自分がどれだけ太っているかを話してみたり、こりゃガンになるなって思うようなうんこをしたりと、摂食障害の奴がやるようなことをやっていた。

 とにかく、私の過食症にトライした1週間をご覧下さい。

1日目:過食症1日目。早起きしてジムに走る。1日中お腹を空かす。CMを見るとお腹が減ってくるので、ろくにテレビも見れない。外は寒いので、ずっと家にいてガムを噛みながら、スーパーのちらしを眺める。

 午後7時30分、競歩で近くのスーパーに行く。ピーナツバターチョコレート・アイスクリームと普通のチョコレートバーを5つ買う。私の考え過ぎだけど、みんなが私を摂食障害のある奴だと思っているような気がする。誰が何を買おうと、誰も気にしないのに……。

 家に着く前に口の中はチョコレートで一杯。家に入ってベッドにもぐり、チョコレートで作ったスプーンでアイスクリームを食べる。完食。

 30分後、トイレにかがみこんで、右の指をのどに突っ込む。吐けない。昔、テレビで過食症の奴が喉にスパチュラを突っ込んで吐いているのを思い出し、ルームーメートの歯ブラシを喉に突っ込みグルグル動かしていると、ゲロゲロゲロゲロゲロと全宇宙のものが喉の奥から出てきた。といってもチョコーレトだけど。

 それから、風邪の症状みたく気分が悪くなった。気分直しに水を飲む。信じられない……。お腹は一杯なのに、痩せた気分。過食症って効くじゃん!

 自分を褒めまくり、結果吐いたものは流さないまま。汚物を見てるだけで気分が良くなる。母さん、やったよ。

2日目:今日はポップコーンだけを食べるつもり。仕事の休憩中にポップコーンにがっつく。念のため、ジャケットのポケットにもポップコーンを隠しておく。

 昨日のこともあって、未だに私の胃はめちゃくちゃ。吐かないようにしてもつらいだけ。一日がゆっくりと過ぎ、考えることと言えば自分の体重のことばかり。

 家に着くと、死ぬ程お腹が減っていたので、Lサイズのピザを4つオーダーする。電話ごしに「みんな、4つでいいよね?」なんて叫んで、ピザ屋の兄ちゃんが私をデブじゃない(デブだけど)と思わせるようにする。ピザが来た瞬間、飲み込むのみ。食べているものの味も分からないぐらい、殆ど噛まずに飲み込む。それから、私の新しい友人“便器”に会いに行った。

 今回は昨日より最悪。ピザは小さく噛み潰されたボール状になって出てきて、吐くたびにソースが喉を焼き付ける。口のすぐ横が裂けてしまったので、吐くたびに胃酸がそれに触って痛い。胃の中をピザが動いているのも感じるし、それが石ころのような塊みたいになって鼻の中に入って行く。もうこれ以上吐きたくないけど、まだ胃の中にはピザが残っているのが分かるのでやめられない。後20回吐くまではやめちゃ駄目と自分に言い聞かす。吐く回数のカウントダウンを始める。出てくるものは大概、乾燥しきっている。まだピザが残っているのは分かってるけど、20回も激しく吐きすぎたせいか、疲れきってしまった。死んだ気分。そのままちょっとの間、トイレで眠る。その夜はKFCの夢を見た。

3日目:朝食は抜く。気分は最悪。昼間中近くのバーに入り浸り、ジントニックで酔っぱらう。トニックのカロリーを気にして、吐くのを想像する。後になってバーで友達と会い、もっと酔うことにした。午前2時頃、トイレに行って吐く。気分は最高。私の胃は吐くことに慣れてきたみたい。顔は青白くてパンパンに腫れ、唇はドラキュラみたいに真っ赤で、首はピクピク震えて、息はゲロくさいので、その夜は誰も私に近づこうとしなかった。

4日目:職場につくと、他の人よりも早めに昼休憩を取るようにする。休憩室にある冷蔵庫を開けて、人のランチを3個ほど盗んでトイレに隠れる。タッパーウェア入りの冷たいスパゲティを飲み込むように食べる。にんじんは捨てる。それから、ハムサンドと半分凍った鶏の胸肉を食べる。変な話だけど、ここまで来ると、完全に過食症患者になったも同然。一度始めたらもう止められない。ボーッとして、自分が食べ過ぎていることも覚えていないくらい。

 自分がやったことに気付くのに何時間もかかった。私にランチを食べられた3人が盗んだ奴(私)を探し始めてからやっと、激しい後悔の念にかられた。

 喉をくすぐった結果、ゲロと共に証拠が隠滅された今になって、どうしろっての? ハムサンドは大きな塊になり、パン部分が出てこようとするとかなり痛い。カラダが裂けそうな、めっちゃでかいうんこをすることを想像してみてよ。まじで痛いし、吐いた後は目の周りに赤い斑点が出来るのよ。未だにその斑点はあるけど、今日は食事には金がかからなかったし、吐いてしまったので、すごくいい日だった。

5日目:今日は普通の日で、普通の食事をし、吐かないと決める。世界一でっかいデキモノが目に出来てしまったので眼帯を付ける。マジの話。クリニックに行くと医者に、今やってることを続けていると、普通以上の消化液よりも分泌された量の酸が多くなって胃を傷つけることになると言われた。医者が何を言ってるのか殆ど理解出来なかったので考えないことにする。ベッドに横になり、テレビを見る。スープを食べようとしても無理。私って最低。何一つとして達成出来ません……。

6日目:ひどい吐き気で目が覚める。携帯を取ろうとしてかがんだ瞬間、口の中で吐く。今となっては吐くことなんて何でもない。とにかく横隔膜に気合いを入れて吐くだけ。今日はほとんど何も食べず、吐きっぱなし。私の人生全てが吐き出されているよう。感情もストレスも昔好きだった最悪なバンドも、全世界が口の中から出てきた。まじで最高。

 仕事にも行けないし、何も考えられないし、電話でろくに話すことも出来ない。私は過食症という島に住んでいる。終いには汚いお椀がたくさん置いてあるベッドに反対向きになって横たわる。

7日目:最終日。今日は何も食べず、多分ベッドから起き上がる元気もないと思う。自分の墓石に書かれる文章を考える。「マリー・イレインは痩せたいが為に22歳で死去」

結局、私が言いたいのは過食症はアホくさいってこと。だって1週間で体重が3キロも増えたのよ。それに、過食症の奴らがこの記事を見て、私のやり方が正しくないとか、まだまだアマチュアで泣き虫の意気地なしだとか奴らに言われるんじゃないかって気が気じゃない。でも、そんなの知るか! 奴らに、叫んだり、コンピューターをタイプするエネルギーがあるとも思えない。事実、過食症の奴らはファザコンのアホばかりだ。知るかボケ!

MARIE-ELAINE GUAY