DOS & DON'TS




THE CREATORS PROJECT - SPIKE JONZE







Hendrix on the way to the recording studio. Photo: AP




未熟で、盲目的に自己陶酔している音楽ファンほど、自分たちのアイド ルの死を嘆き悲しむ。青白い顔のジョン・レノンやカート・コバーンの 死をしのぶ恒例の徹夜のキャンドルナイトを見てみろよ。さらには、い まだにエルヴィスとツーパックの死を否認する、自我のかたまりの崇 拝者連中なんてのもいる。彼らはまるで、ポップミュージックにまとわり つく、“顔”を持たないヒルの大群のようだ。スターの死を嘆く幼稚で自 己中心的な彼らは、スター達が自分たちの死も同じように嘆いてくれる とでも思っているのか?スターがそういうファンから逃れる為に死を選 ぶのは、明白だ。

ジミ・ヘンドリックスは、身長が170cmしかなかったにもかかわらず、多 くの人々から偉大なギタリストと見なされている。永久に。彼は、27年と いう短い人生をドラッグをやるのと、女を追いかけることに費やし、3枚 の貧弱なスタジオアルバムしか残せなかった。でも、現実の死から35年 の間に、ヘンドリックスは働きバチ並に働き、毎年、最低1枚のアルバムを リリースしてきた。ほとんどのミュージシャンが成功するために必要とす る大衆からの“慰め”と“静かな時間”を、彼は自らの死によって手に入れ たのだ。ヘンドリックスにとって、自分のゲロで喉を詰まらせて死んだ事 は、死後の活発な音楽活動への切符だったって訳だ。

有罪のレイプ犯、ツーパック・シャクールが、ラスベガスの路上で撃た れたのが、まるで昨日起きたことのように思える。ツーパックを撃った無 名のフーリガンは、彼を撃つ事が、彼の出世街道への近道を手助けして いるなんて知らずに撃ったんだ。ちょび髭で、口が悪く、よく上半身裸だっ たクラック中毒者は、その短い人生を、ごろつきでいる事に夢中になり過 ぎて5枚のスタジオアルバムしか残せなかった。でも、ツーパックは、その 幸運な死以来、自分の悪さぶりを自慢するのをやめ、今日まで、8枚のフ ルアルバムを出し、その中で、犯罪者の人生をロマンチックに歌い上げ ている。死は彼に、ごろつき人生で得たもの以上の収穫をもたらしたが、 レイプする事を難しくさせたことは言うまでもない。

盲目の叙情詩人、レイ・チャールズが、死後8個ものグラミー賞をはじ き出したのを見て、泣かなかった人はおそらくいないだろう(僕を除い て)。ジョン・レノンや、ナット・キング・コールなどの歌鳥たちと同様にグ ラミー受賞者の列に加わった、コウモリのように盲目の屍体は、死を理 由に舞台に登場するのを断った。しかしレイは、ニヤっとしたあの笑み とドラッグにまみれた長い人生の中で、彼を天才としてではなく、清掃 人みたいに扱ったグラミー投票者に何度も冷遇されてきた。ただ、そ んな態度をとっていた連中すべてが、彼の前に膝まずいた今じゃ、み んなレイの友達になりたがっている。きっとレイ・チャールズは、棺の 中で今まで以上の笑顔でいるにちがいない。そして、彼の音楽人生は、 今、始まったばかりなんだ。

JIM GOAD