DOS & DON'TS




THE CREATORS PROJECT - SPIKE JONZE







Liars: 彼らは嘘つきなのか?Photo courtesy of Marian Picches.




なんでミュージシャンは甘ったれたクソ集団なのに神様扱いされるん だ?ちょっとギターが弾けるからって、彼らのアホな要求(たとえば赤い M & M は食べないから取り除けとか)に全て応じなきゃいけないのか?“ラブ”と“ダブ”で韻を踏んだからって俺に赤ワインをぶっかける権利が あるっていうのか?

いや、もちろん違う。ミュージシャンを甘やかす伝統はデカイ過ちで、 いい加減やめるべきだ。ヤツらの大半は俺のホテルの部屋の掃除人 にも雇いたくないほどの代物だし、ましてやたかが1曲で俺の給料の 1000倍も稼げるなんて馬鹿げてる。レコード会社ってのは本当に言う ほど悪質か?ならなぜそのほとんどが“アーティスト”のご機嫌とりに追 われて破産してるんだよ?

ミュージシャンの甘やかしを阻止する第一歩は、まず彼らが音楽業界 (特にレコード会社)に生け贄にされるという誤解を解くことからはじ まる。ミュージシャンはレコーディングのためにお金をはたいて、奴ら のアホ面をそこらじゅうにベタベタ貼り付けて、有名にさせてあげよう というレコード会社に対して感謝の“か”の字も無い。

という訳で、これからレコード会社が親しく思っていたインディーズバ ンドに裏切られる傑作話を数々紹介する。ハッピー・マンデーズ対ファク トリー・レコードのトニー・ウィルソンの話とか、ストーン・ローゼズが5年 以上もかけて史上最悪のアルバムを作ったこととかはもう何万回も聞い た話だろうから除いておいたが、それでも限りなく話しはある...

MY BLOODY VALENTINE VS. CREATION RECORDS
1989年から1991年の間、クリエーショ ン・レコードのボス、アラン・マギーと MBVのケビン・シールズの会話は大体 こんな感じだった:
マギー: お前たちにレコード制作費300,000ドル渡したのに音楽はま だ4秒くらいしか作ってないじゃないか。俺はお前らに人生賭けてる んだぞ。

ケビン・シールズ: あんたなんてファックだ、クソッタレ。
幸い、最終的にシールズがマギーに手渡したアルバム、“Loveless”は革 命的大ヒットとなった。だがあいにく製作を3年間延長するために死ぬ気 でお金を出したマギーはソニーに身を売る羽目になった。

ケビン・シールズはその後アイランド・レコードからも何百万ドルかを 稼いだが、はっきり言ってこのレコード会社に移ってからルイ・アームス トロングのカバー曲同然のシロモノしか出していない。数年前、VICEは ケビンに、なぜMBVとして新曲を何年もリリースしていないのかを聞い てみた。失敗を恐れているのか?

「俺は誰かにリミックスを頼まれるたびに何千ドルももらう。そしてたま に結構な額の印税が入ってくる。金は十分にあるんだ」と彼はほざいた。

ROYAL TRUX VS. MATADOR
ジェニファー・ヘレマとニール・ハガティ ーは、ちょっとじれったいけど時には天 才的な音楽を作るということよりも、どう しようもないジャンキーだってことで名 を上げていた。たぶんハイになることに 夢中で、良きインディーズ・レーベル、マタドールをどんなに悪質に利用 していたかなんて考えもしなかったんじゃないかな。匿名希望のマタド ール社員は、「たぶんバナナフィッシュっていう雑誌のインタビューだっ たと思うけど、彼らはマタドールからもらった前渡し金を全て腕に注入 するブツに使っちまったと吐いたんだ」と言っていた。

現在おおかたシラフのハガティーに聞いてみると、彼はこう断言した: 「まあ、前渡し金の少しはレコーディングに使ったけど、残ったお金は 他のモノに使って、結局レコーディングは完成できなかった。あの時は たぶんちょっと怒ってた奴もどこかにいただろうけど、最終的には大丈 夫だったんじゃないかな」そうだな、誰がヘロイン中毒者をスポンサー するのに文句を言うっていうんだ?

TEENAGE FANCLUB VS. MATADOR
このどうでもいいポップスターたちがイ ギリスでファイアー・レコードからクリエ ーション・レコードに移り、アメリカでマ タドールからゲッフェンに移ろうと思っ ていた時、契約上マタドールであと一枚アルバムを出さなければいけ なかった。だから彼らは大急ぎで憎悪すべき“The King”を仕上げた。ク リエーション・レコードはそれをリリースしたと思いきや、なんと同じ日 に撤収した。マタドールはというと、「うーん、やめとく」って感じで一秒 たりともリリースしなかった。

俺たちのマタドールスパイ(こんなこと言ってるってバレたら即クビだ な、こいつ)曰く:「“The King”はハイな時にカバー曲とかインストとかを 適当にジャムってた時のもの。実際バンドのメンバーが演奏してるかど うかも危ういね。たぶん“Bandwagonesque”を制作中にメンバー数人と その友達がスタジオで遊んでるときに作られたんじゃないかな」

ちなみに、“Bandwagonesque”はティーンエージ・ファンクラブの唯一良 いアルバムだ。つまり彼らはいい出来のレコードをさっさと完成してからメ ジャーなレコード会社でリリースできるまで隠しておいて、良きインディー ズ会社にはゲロ的なシロモノしか送らなかった。マタドールスパイは言う: 「バンドから“The King”をもらったと同時にDATの“Bandwagonesque”が 手元に届いたのがムカついたね。ホント、マジギレだった。俺たちは彼ら がイギリスで有名になるずっと前から、一番最初に契約してあげたレー ベルだったのに、最終的にはヤラレちまった。ゲッフェンは弁護士代すら 払えないくらいの安値であいつらを買収したんだ」

JAMES LAVELLE VS. ISLAND VS. XL RECORDINGS
2003年のハーレムは外交官が支配していたよう に、ジェームス・ラベルのモーワックス・レーベル は90年代中旬、ロンドンのコベント・ガーデンを 独占していた。金縁のエアー・マックスを500ド ルくらいでサバいていた馬鹿高い店を覚えてる か?“サルの惑星”ブームや、足に刺青をした女 の子とか、19歳にしてお前が一生かけてもなれ ないほどの大金持ちな日本人観光客とかも思い出してみろ。覚えてい るか?あれはすべてジェームス・ラベルが発祥の元なんだ。だが彼の音 楽をコレクトしていたトレンディーキッズには悲しいことに、ジェームス は音楽家としてはいまいちで、モーワックスでリリースした音楽の99% は退屈でパッとしない、鼻歌ですら歌えないほどイカれたメロディーの CDばかりだった。

元モーワックス社員は不機嫌そうにVICEにこうつぶやいた:「ジェーム スは一度自分のレーベルをアイランド・レコードに売って、何百万も稼い だんだ(俺たちは760,000ドル程度ではないかと勝手に推測している)。 だがアイランドが一銭も儲けていないのを見ると、今度はモーワックス 第二号をXLレコーディングスにまた大金で売ったんだ。彼は自分のレー ベルを2回も売ったんだぞ!」と我らのモーワックススパイはあえいだ。

BUTTHOLE SURFERS VS. ALTERNATIVE TENTACLES VS. TOUCH AND GO
ギビー・ハインズはLSDパンク天才男じ ゃなかったんだ、いいか?彼は大ほら吹 きの、才能ゼロのクソったれ麻薬中毒者 で、彼のクソバンド、バットホール・サーファーズのレコーディングなんて 全てポール・レアリーにやらせてたんだ。ハインズがもう一人の才能ゼロ 男、ジェロ・ビアフラから“アルバム制作費”5000ドルをかっぱらって、その うちの4500ドルをアシッド、コカイン、ヘロイン、酒に費やし、残り500ド ルを“Brown Reason to Live”という死んでも聞きたくないEPに使ったと いう話は、1989年当時はおかしかったのかもしれないけれど。

だがタッチ・アンド・ゴーの発起人、コーリー・ラスクを裏切ったのはヤ バすぎる。ラスクといえばネクロスのドラマーであり、あの聖なるネガテ ィブ・アプローチと契約を結んだ張本人なんだ!彼はテキサスから来たク ソったれ集団にかまってないで、パンク議会名誉勲章でももらうべき秀 才なのだ。それなのに、コーリーがバットホールの唯一良いアルバム( 80年代中旬から90年代にかけて)をリリースしたや否や、クソバンドはソ ニーへ寝返りをうってラスクにバック・カタログをすべてタダで返せと要 求したのだ。契約書を作らないで済ます握手取引万歳ってやつだな。

元タッチ・アンド・ゴーに雇われていた者曰く:「コーリーは握手取引 がパンクロックバンドとレーベル契約の基本だったころにバットホー ルを雇ったんだ。もし彼らがレンタカーを潰しちまったら、コーリーは わざわざ彼らを探しにいって、自分の車を貸してあげた。するとバンド はそれすら潰しちまう。最終的に無残な終わりだったね。まあ、でもタッ チ・アンド・ゴーから消えたあとにバットホールがリリースしたアルバム は全てクソだったぜ」

LIARS VS GERN BLANDSTEN RECORDS
まだこの件に関してははっきりとした判定は下っ ていないが、とりあえずインディーズ・ロックの究極 な教訓を覚えたかい?握手取引なんてファックだ! お前のバンドのメンバーが自分の兄さん、ばあさん、そしてリハビリの先生だとしても構わない。とにかく契約書を作れ。

これをはっきりとさせたところで言っておくが、ライアーズ対ゲーンの 喧嘩に関しては両側があまりにも食い違った発言をするから真実は神様 しかわかんないだろう。素晴らしきインディーズ・レーベルのボス、ゲー ン・ブランステンはこう言う:「俺は文書やら弁護士やらは金、資源、そし て時間の無駄だと思った。馬鹿でナイーブに聞こえるだろうけど、ライア ーズと関わるまでは10年間自分のレーベルで一度も裏切られたことは 無かったんだ」。彼曰く、6ヶ月間でざっと16,000ドルほどをバンドに費 やした末、ライアーズはいきなりメジャーなレーベル会社、ミュートを通 して“あばよ”と電話をかけてきたらしい。ブランステンは、経済的損害よ りも精神的ダメージのほうが大きかったという。「精神的にいえば、あの ことは計り知れないほど俺に害を与えた」と、彼は思い出す。「あるときは 家族のようにふるまって、俺と奥さんとみんなで夕食しようなんて話しな がら、ゲーン・レコードに所属できてうれしいよなんて言われてたのに、 24時間後には彼らの新レーベルと弁護士から電話があって、もうバンド とは関わるなと脅されたんだ。屈辱だった」。素晴らしく革新的なアバン ト・パンクバンド、ライアーズは言い分が随分違う。「ミュートに移るため には、ゲーンから俺たちの最初のアルバムを“買い取る”形になったんだ。 ミュートは30,000ドル出すと言ったんだが、チャールズはその75%を要 求してきた」と、バンドはEメールでVICEに伝えた。「最終的には12,000ド ルまで下がって、それにプラス今までのそのレコードからの売り上げ利 益を全て持ってかれたんだ」。醜いね。この話で果たしてどちらが一番の クソッタレなのかを決定したらまた教えるとしよう。

JERRY MCPHEERSON AND JACK STEEL