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![]() ジューダス・プリーストの授業を受けて
他の奴らはRunDMC、ロブ・ベース、“プッシュ・イット”みたいなク ソを聴いていた。当時俺はああいう音楽が大嫌いだった。「彼ら」の 音楽だった。俺が育ったクィーンズではフードをかぶったヒップホッ プバカが、爆音で“イット・テイクス・ツー”をラジカセから流しながら ブラブラするのが流行だった。俺は“ツイステッド・シスター”を更に でかいラジカセで流して、そいつらの頭をふっ飛ばしたいとよく夢想 していた。俺みたいなガキにとって、ディー・スナイダー、アイアン・メ イデン、メガデスはお手本だった。彼らの不潔でボサボサの長髪は、 まるで設計図だった。ああいうバンドが俺に、全校集会で流すような ラップを聴くウザイ奴らに抵抗する手段を与えてくれた。それがヘビ ーメタルから学んだこと。 まだ12,13歳だったので最初のうちはファッションをマネするこ とはできなかったけど、高校に入るとすぐに髪を伸ばし、アイアン・メ イデンのパッチが背中に付いたデニムジャケットとベロが出ている ハイトップの靴を買い、指輪、ネックレス、イアリングをつけ始めた。 俺は、フローラルパークにある私立セント・フランシス高校に通って いて、そこにはメタルヘッドのギャングがいた。彼らはスプレー缶で 落書きをしまくり、そこらの落書きギャングと同じように争っていた。 最高だった。もちろん俺は弱すぎてギャングに入れなかったが彼ら の周りをいつもウロウロしていたんだ。連中は、メタルヘッドの一人 が他の奴が書いた落書きの上にタグしたと言っては、いつもケンカ していた。学校では歴史や数学とか、いろいろ暗記しなくちゃならな いけどメタルヘッドになると何かもっとはかないことを学ぶんだ。倫 理の法則を習っているようだった。これはいつまでも残るものだ。 現在の俺の行動や考えのもとは12歳の時に身につけた ものだ。着るものやイメージが大事だってこと、間違ったも のを着ているヤツらをニセモノと呼ぶこと。これは全てメタ ルヘッドとして学んだ。 だがこれはファッションだけではなく、人生や正義と悪に対 する信念に結びつくものだ。学校を出ることで、今まで白か黒 だけでしか見なかった信念を捨てることができた。(さもなけ れば40歳になって恥をかくだけだろ)それと同時にメタルには まっていたハイスクール時代に身につけた考え方が今の俺の 設計図になったんだ。当時のロックスターが目指していたのは 長髪メタルスタイルのジョン・ウェイン系だった。1時間かけて 髪を乾かすが、ウィスキーを一本飲み干しケンカが強いヤツ。 でもそれらはもう存在しない。80年代のメタルの理想はも う死んだのさ。これにはいくつかの理由があると思うんだ。ま ず、80年代のメタルの時代は、より反逆的な二ルヴァーナと グランジの登場でかき消されたんだ。グランジのヤツらは神 経質だがパワーコードが弾けた。けれどメタルヘッドには無 理だった。その上、何度も買い物に行って常に自分を磨かな きゃいけないメタルスタイルと比べて、グランジはだらしなく てもよかった。 それとメタルの開祖とも言える狂人オジー・オズボーン。今 はザ・オズボーンズという番組で愛されるお父さん、よたよた 歩く夫として出演している。彼はオズ・フェストなんてやって、い まだにメタルの生みの親と言えるが、メインストリームに出過 ぎて、同じ人類だということを明らかにしてしまった。メタルヘ ッドの信念からすりゃ、あれは破門を意味するね。 それとロブ・ハルフォードがゲイだとカミングアウトした瞬 間は、メタルスタイルにとっては本当に致命的な打撃だった な。メタルの王子が退位した直後、彼は革ジャンスタイルを自 分の性的趣味の表現だと明かしたんだ。”真の男”と大げさに 吹いていた売り文句とは正反対だった。もしかするとこれは史 上最大の「ロックンロール詐欺」かもしれない。ハルフォードが 少年好きだと認めたとき、希望もなく時代遅れなメタルヘッド 達の「ホーリー・ファッキン・シット!」という叫び声はハリケー ンのように巻き上がった。 メタルの神々の正体が暴露された以上、現在の見捨てら れたキッズはかつてのメタル理想主義をどこで学べばいいん だ?俺には分からない。今、メタルはメインストリームの一部 だ。リンプ・ビズケットが本当に反逆のレシピを教えてくれるの か?考えてみろ。もはやメタルは、ラジオやMTVをとおしてでは なく、俺がそうだったように口コミをとおして既製の「革命一式 セット」を若者に提供できないため、若者(そして彼らが聴くバ ンド)はラップやテクノ、そしてそれらのジャンルにあう産業的 なファッションや感受性に順応したんだ。だからデビッド・クロ スの、「今ヒップホップを聴いているメタルヘッド」というモノマ ネが面白いのさ。 現在のティーンエイジマッチョ主義は以前に比べ、よりメン タルは暴力的だ。もう80年代の非現実的なファッションは笑 いのまとに過ぎない。現代のメタルバンドがスパッツを真面目 に着るのは50セントがリック・ジェームズの格好をするのと同 じぐらいバカらしい。残念なことか?そうではないかも。だけど、 この「進歩」を示せるものってなにかあるのか?大勢のメタルジ ャンキーが空のビール缶を投げ合っているのではなく、フレッド ・ダーストの主だった連中がそういうヤツらを「ホモ」と呼んで いる。それが本当に残念だ。 CARLOS D インターポールの新アルバム『アンティクス』は今月〈マタドール・レコード〉より米国 で発売。 ![]()
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