DOS & DON'TS




THE CREATORS PROJECT - SPIKE JONZE












1985年ハロウィンの夜、カナダの郊外に住むティーン9人がマルコの家に集まって、マジックマッシュルームをやる事になった。まずはマグカップにお湯を注ぎ、ブツを1グラム入れ、ラップをかけて15分待った。それを飲んだら7時間もブッ通しでブッ飛びが続いたのだ!あまりにも衝撃的な体験で、20年過ぎた今でもあの夜の事を鮮明に思い出せる。

現在35歳になる当時のメンバーの内5人をモントリオールのバーに集めて、あの夜の事を振り返ってもらった。メンツはマルコ(カナダの田舎で彼女と暮らすミュージシャン兼プロデューサー)、ピーター(高校から付き合っていた彼女と結婚してサンディエゴに住むエンジニア)、ブレイク(オタワに友達と住むミュージシャン兼グラフィックデザイナー)、エリック(モントリオールに住むシェフ兼ミュージシャン)、そしてケビン(フィアンセとロンドンで暮らすパブのオーナー)。今回参加を拒否したのは全員子持ちのお父さん。

ケビン:あの夜の事は恐ろしいくらいハッキリ覚えてるよ!

ピーター:とても興味がある、みんなの話。

マルコ:“感情”の話、覚えてる?人間には感情があるって事をまるで初めて気付いたあの瞬間?

ケビン:あー、覚えてる。エリックがくだらないお面をかぶって俺達を驚かそうとしたんだよな。でもマッシュルームをやってる奴をビビらせるなんて、しょせん無理なんだよな。ソファーに飛び乗って叫ぶエリックに向かって俺は「何やってんだアホ、うるせぇよ!」って冷めた口調で言ったっけ。

マルコ:それでエリックの奴、お面を外したら顔が真っ赤になってて。

ケビン(マルコに向かって):そしたらおまえが「おい見ろ、泣きそうじゃないか。人間には感情があるんだ。人間は傷つくんだ」とか言って、そこから“感情”をテーマに語ったよな!まるで生まれて初めて“感情”を体験した宇宙人のように。「今怒りを感じてる。いや、小便しに行きたい感じがする」とか言ったら誰かが“怒り”と“小便”を聞き間違えて、みんな狂ったように1時間笑い続けた。

ピーター:爆笑しすぎて、自分が恐ろしかったよ。

ブレイク:俺なんて笑い過ぎで呼吸困難になるかと思って、必死に空気を体に送り込もうとしてた。

エリック:マルコの家はお客さん専用の奇麗なリビングルームとファミリー用の汚いリビングルーム、二つあったよな。イタリア人の家じゃよくある間取りだろ。俺達はもちろん汚い方にしか通してもらえなかった。奇麗な客間を探検してたらマルコの母ちゃんが飾ったアフリカのお面が目に留まったんだ。そのお面を壁から外して、20分かけてコッソリとダイニングルームを抜けて、キッチンをはいつくばって、やっとみんながいたソファーの裏側にたどり着いた。お面をつけて、ビビらすつもりで大声をあげたんだけど、みんなノーリアクションで本当に情けなかったよ。あの時はすごく落ちたね。

ブレイク:それを見て犬がめちゃくちゃ興奮して吠えまくってた。名前何だっけ、フィグビー?

マルコ:あーフィグビーだ。可愛そうに、数年前に死んじまった。

ピーター:ずっと自分がウンコをもらしたのかと勘違いしてたんだけど、犯人はおならを連発していたフィグビーだった。俺、ケツの穴にクソがついてないかずっとチェックしてたら、臭い匂いが指についちゃって、余計解んなくなったんだよ。臭い犯人がフィグビーだと気づいて、すんげぇホッとしたんだから!

ブレイク:可愛そうだったな、あの犬。くだらない事ででっかいリアクションするオレらに困惑して、ワンワン吠え続けてたよな。頭がそのうち吠えすぎで取れちゃうんじゃないかって、ちょっと心配だった。

ピーター:まるで足がない犬(バセットハウンド)のようだった。犬の気持ちが知りたくてみんなで地面をはいつくばったのを覚えてるよ。地面から見る世界はなんか新鮮だった。

ブレイク:そうだ、全員床ではってた。

ケビン:数人がガレージの方にはっていったのを覚えてる、ちょうど靴を脱ぐエリア。

マルコ:母ちゃんはそこを泥の部屋と呼んでた。

ケビン:そこにはっていった5人は足が絡まってしまって、動きが取れずにもがいていた。「腹減った!」って叫んでたっけ。

ピーター:実際、腹が減った訳じゃなかったけどな。

ブレイク:俺もそいつの一員だったよ。俺達はジャバ・ザ・ハットに力を試されて、戦士と対戦させられてるモンスターだった。頭に触覚がついてるモンスターで、叫んだりうなったりしてた大暴れした。すごくハマったよ、自分が化け物だって本当に思い込んだからね。

ピーター:ポールが扉を開けてパンを投げ入れて、俺達が「うぉー!!」って叫びながら食いついた。本当に食べるんじゃなくって、ムシャムシャとしばらく噛んでみた。湿ったパンが顔中に付いたのを覚えてるよ。

ケビン:それで、最後はどうなったんだっけ?

マルコ:確かキッチンが騒がしくなってて行ってみたんだ。そうしたらでっかくて鋭いナイフがテーブルに置いてあって、誰もそれを手に持って引き出しにしまう事が出来なくて、みんな固まってたんだ。

ケビン:あー覚えてるよ。すげえダークでさ、拾った途端に誰かを殺す気分になっちまうんだよな。

ピーター:俺は「臆病なカマ野郎は何をほざいてんだよー!」と思った。けど実際ナイフを手に持った瞬間、悪魔が俺に宿って、すごい残虐なアイデアが次から次へと湧いきたんだ。ナイフを持ってられなかったんだよ、やけどするかと思った!

マルコ:誰一人拾う事が出来なくって困ってた。そしたらコリンがタオルでナイフを覆って、それをまるごと拾って引き出しにしまおうって提案して。

ケビン:みんな大きな歓声が上げた。彼はまさにヒーローだった。

エリック:その後コリンのやつ、どっかに行っちまったよな?

マルコ:そう、母ちゃんの化粧室にずっとこもりっぱなしで2時間位出てこなかったよな。

エリック:そうそう!ヒョッコリ降りてきたと思ったら、やたら顔が赤くて汗だくだった。あいつ多分香水とかオイルを色々試してたんだよ、だって出てきた時もろプンプン臭ってただろ?化粧品やら鏡に囲まれてあいつが何してたか想像つく?カマがスローモーションで何してたか!

マルコ:俺マジでキレたよ。

エリック:あいつが「おまえの母ちゃん色んなの使ってるな」って言ってきてさ。それ以来ハウスパーティーする度にあいつの趣味になってた。親のベッドルームに侵入しちゃあー、母ちゃんの物をいじる。違うパーティーで俺の母ちゃんのブラとパンティ履いて出てきたっけ。両親が床に落ちてるのを見つけて、真っ先に俺が疑われたよ。

ブレイク:今コリンは何してんだ?

ピーター:さぁー、もう連絡とってないよ。うちに居候してた時があって、長居を注意したら喧嘩になってさ。もう10年も前の事。その後、誰もあいつの行方知ってる奴いなんじゃないかな。

ケビン:しかし本当に面白かったよな。

ピーター:覚えてる?ドアのチャイムが鳴って、ハロウィンの仮装をした連中が来た時?

ケビン:あれはビックリした!ちょうど奇麗な客間の方にゾロゾロと歩いて行ってて、神秘的な部屋に迷い込んだ気分で廻りを見渡していたら、突然「ピンポーン」って鳴って!みんなマジでビビってたよな!

エリック:全員ソファーの裏に回って隠れて、俺なんて心臓飛び出すかと思ったよ!まるで俺達がユダヤ人でナチスに追われてるような気分だった。ウンコ漏らすかと思った。

ピーター:俺は最初っからウンコ漏らしたと思い込んでた。

マルコ:全員が隠れた後、俺とケビンが何とかするって事になって。俺がケビンを捕まえたらあいつ逃げようとした。でもおまえよく頑張ったよな。

ケビン:悪魔と戦えって言われるのと一緒だったけど、お前に言われたらやるしかなかったよ。

マルコ:ドアを開けたらガキが立ってた。何の格好してたっけ、ミツバチ?

ケビン:そう、ガキがミツバチで親父がフランケンシュタインだった。思い出したらなんかドキドキしてきた。

マルコ:俺もだよ。いまだにトラウマになっちまってるぜ、くそ!「こいつらどうせお菓子が目当てで来たんだから、早く欲しいもん渡して出て行ってもらおう」と考えてた。

ケビン:そう、それでお前の母ちゃんが用意してたお菓子を全部ガキの持ってた枕カバーに入れた。どんだけ沢山あげたか覚えてないけど、黄色い顔したガキがこっちの方を見上げて「お兄ちゃんありがとう!」って嬉しそうだった。ガキの親父も喜んでた。俺達が超パニクッてるとも知らずに。

マルコ:ドアを閉めたらめちゃくちゃホッとしたよ。ファック!俺も思い出してドキドキしてきた。

ケビン:そうしたらまるで怪物が去った後に出て来る農民みたいに、みんな隠れてた場所からわらわら出てきて。

ブレイク:フランケンシュタインが去った後だ。

ケビン:みんな放心状態で、俺達が外の世界と接した事に本当に驚いてた。

ブレイク:俺はその後すぐに家に帰った。今思えばもっと時間が経ってから帰った方が良かった。

ピーター:おまえ全て母ちゃんに言ったんじゃなかった?

ブレイク:そう、恥ずかしかったよ。家に帰ってギターを15分位弾いたけど、落ち着かなくて、とうとう親父に自分がハイだって事を告白したんだ。そしたらめちゃくちゃ怒られて、ポールと遊んでたって事を白状させられた。その後おまえらと遊ばせてくれなかったの、覚えてる?次の朝、母ちゃんが俺の部屋に来て、「何で効果が切れた後に帰ってこなかったの」って言われた。

ピーター:あのハイは永遠と続いたよ。彼女が45分も運転して俺を迎えに来てくれて、家まで送ってくれた。俺が母ちゃんに自分がブッ飛んでる事を言ったら、何も言わずにチーズバーガーを作ってくれて、母ちゃんと彼女が俺を寝かしつけてくれた。その後アル・ムーアに電話して、「俺の母ちゃんと彼女は本当に素晴らしい女性達だ」って上司に伝えてくれって言ったの覚えてるよ。

マルコ:あの夜「どうせドラッグパーティーの事なんて次の日になれば忘れてるだろう」と思ってたけど、まさか20年経った今でもハッキリと覚えてるなんてな。だから、幻覚剤はビールと違って記憶のディテールを一生忘れる事はないって事を今の若者に伝えたい。別に悪い事じゃないけどな。

エリック:楽しかったよな。

VICE STAFF
によるテープ起こし。