SHINYA TSUKAMOTO


INTERVIEW AND PHOTO BY TOMOKAZU KOSUGA



日本の監督・塚本晋也は監督のみならず、製作/撮影/美術/編集もこなしてしまう奇才だ。中学時代から自主映画を製作、1988年に制作費1,000万円をかけて製作した一般公開第1作の『鉄男』がローマ国際ファンタスティック映画祭グランプリを獲得した。当時、映画祭に自ら足を運ばせるという考えすら思いつかなかった彼は受賞の現場におらず、その場にいた日本人が急きょ代理として壇上に上がったという逸話が残っている。
 そんな『鉄男』誕生20周年を迎えた今年、その第3作目となる最新作『TETSUO THE BULLET MAN』の発表がカリフォルニア州はサンディエゴ開催の《Comic-Con》で行なわれた。今回Viceは、Comic-Conのため監督が渡米する前日にインタビューを決行。8ヵ月ものあいだ水面下で製作が続けられていたという彼の新作についてや(発表直前というコトもあって、訊けるコトに限りがあったのは残念だった)、彼の作品でもとりわけエロティシズムに富んだ作品『六月の蛇』について訊きながらもさり気なく彼の本性に探りを入れた(が、結果的にはTomoのヘンタイ性が露わとなっただけだった)。


Vice:はじめまして。……とても疲れた顔をしているね、あまり寝てないのかな?
塚本晋也:
いえいえ、そんなことありません。いつもこんなカンジなので。新作の編集をずっとやっていたのもありますが、最近そのほとんどが終わったんです。今は画のクオリティを上げるために色々画の調子をイジッたり、音楽を決めたり、効果音を作ったりしているところですね。

そうなんだ、その新作について聞かせてもらえるかな?
今作っている新作は『鉄男』シリーズの3作目となる『TETSUO THE BULLET MAN』です。“弾丸のようにスゴい速さで弾け飛ぶ”という意味にちなんでつけたタイトルなので、『BULLET BALLET』は関係ありません。過去の『鉄男』2作と同様に今作も“ 製作/監督/脚本/撮影/編集”の全てを自分が担うという手法で作りました。『鉄男II BODY HAMMER』も『鉄男』の続編ではありませんでしたが、今回の『TETSUO THE BULLET MAN』も同様に新しいストーリーとなっています。撮影は東京で行ないましたが、セリフは全篇英語にしており、主役もアメリカ人男性が演じています。そして僕自身も『鉄男』2作に出てくる“THE GUY”という役で今回登場しているんですよ。

2000年以前は“人と機械/都市と肉体”といったテーマで作品を作り続けてきたのに対して、以降の『六月の蛇』や『ヴィタール』でテーマが変わったように見受けられる。ソレを踏まえた上で訊きたいんだけど、次の新作はどういった方向に進んでいるのかな?
そのヘンの時期を境に、僕の興味の矛先が“外側への興味”から“内側へのソレ”へと変わっていっているような気はします。挙げて頂いた2作以前の作品が“肉体となにかとの関係”だったのに対し、『六月の蛇』では肉体そのモノが持つエロスを扱い、『ヴィタール』は“肉体の内部を探ってみるとナニがあるんだろう”という問いかけでした。だけどそのヘンのテーマでなにかこう、ガッチリと掴め切れていないような、悶々としたカンジがまだ残っていて。なので今回の新作は“悶々の集大成”のような作品にしたつもりです。それに加え、僕がこれから先突き詰めていこうとしている新しいテーマもほんのり入っているような……そんなカンジですね。

監督の作品はアフレコが特徴的で、全編アフレコの作品が多くを占めている。意識的にそうしているんだろうけど、つまりは“現場で音を犠牲にする代わりに画を優先する”ってコトかな? 同録って面倒だしさ。
そうですね、主にそれが1番の理由です。それから映画製作を始めた当初はアクション映画ばかり撮っていたんですが、アクションは1つ1つのカットの尺が短いんです。だからそれぞれに時間をかけすぎるより、後で一気に録音した方が手っ取り早かった。しかしその後に関しては、演技を必要とする映画を作っていくにつれ、同録の良さを感じるようになったのもまた事実です。だから、それぞれの良さがあるということでしょうね。それでも僕の場合、どちらかというと画を重視したり、作品に命を吹き込み直すという意味合いでアフレコを利用していると言ってイイと思います。

普通は現場での同録が困難な場合に止むなくアフレコを使うモノだけど、監督は逆にソレを意識的に用いることで独特なアフレコを成立させている。
やはり昔からその手法に慣れているのが理由の1つですね。それから僕は本来役者でない人を抜擢することが多いので、現場ではとにかく演技だけに集中してもらうんです。そしてアフレコの時、録音に集中してもらいたい。それも理由の1つですね。それから、子供時代に観た映画やテレビにアフレコの作品が多かったのも挙げることが出来ると思います。当時の『ウルトラQ』なんて、ヘタなアフレコで録音されていましたが、当時はそれが当たり前。日活ロマンポルノを代表する神代辰巳監督の映画でもアフレコを特徴として挙げられますが、それなんてもう、口の動きが全然合っていない。でもそれが面白かった。まるでアフレコでは現場のセリフとちがうことを言っているんじゃないかと思わされるような、まさに“新しい命を吹き込み直したかのようなアフレコ”。僕はまだまだそんな境地まで達していませんが、いつかはそんな作品をやってみたいなと思っています。

今考えると『ウルトラQ』のオーブニングは完全にトリップムービーだったね。そういう意味では『電柱小僧の冒険』や『鉄男』で出てきたような“コマ撮りのカットを小刻みに繋げたシーン”なんかはトリップ感満載で『ウルトラQ』との共通点を感じる。
自分はドラッグをやらない前提で作品を作っているので分からない点が多々ありますが、確かに『鉄男』はアメリカじゃ“ドラッグでキマる時に効果的な映像”だったみたいですね。『鉄男』の最後の方は延々とグチャグチャ戦っているだけなので、それを観ながらドラッグでキマる人がいたのは自然な流れだったのかもしれません。でも“ドラッグでキマッた時に見える映像”というのが僕には分からないので、1度その類の本を調べたことがあるんです。そしたら“後遺症も残らず面白い映像が見えるようなモノ”が色々と書かれていて。しかし今のところそういうのを試した経験はありませんね。僕にとっては“正常な状態で感じられる面白いモノを如何に面白く作れるか”というのが課題ですから。だからと言って、別にクソマジメにそう考えているワケでもないんですけど。






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