LITERARY


By TOMOKAFLEX


若き日本人の肖像
吉永マサユキ
リトルモア

この男の写真からは、この男自身の “汗” を感じる。この手のアーカイブ・フォトではすべからずして一時的な関係性を被写体と築く必要があるが、彼の場合、その中でもちゃんと被写体と時間を有意義に共有している。だから敢えて言うなら “一緒に汗をかいて写真を楽しんでる” ってカンジ。そういう写真って、最近じゃ田附勝の『DECOTORA』くらいのモンだ( “汗臭さを放つ写真集” というのはどうも男にしか出来ないワザのようだぜ。写真家志望の男性諸君、男が街中でスナップを撮りにくくなった今、キミたちに残されたキーワードの1つは “汗臭さ” だ)。パリを大型カメラ持って歩き回ったアッジェよろしく職人のようにひたすら足で歩き回ってテマヒマかけて人を撮るこの男、吉永マサユキ。コレほどまでに人が大好きで、彼自身も人から好かれるだろうということが写真から伝わってくる写真家は日本においてアラーキー以来かもしれない。

 まずこの1冊の写真集を開いて圧倒されるのは、 “アウトサイダー” と称される連中が1人のフォトグラファーにその心を開いているという点。この写真集で吉永はさまざまなグループの集合写真を編んでいるが、それぞれがとても特徴的な連中で構成されている:チーマー、ビジュアル系、ドラァグィーン、ホスト、ホステス、暴走族、レディース、バイカー、レースクイーン、祭りの若い衆、ボクサー、ちんどん屋、永ちゃんファン、建設業者、ストリッパー、バイカー、ロリータ、コギャル&ギャル男、Bボーイ、右翼、ゴス、ガールズバー、チカーノ、コンパニオン……。そしてマイノリティーであればあるほど “特定の制服” を身にまとうことで団結力を見せつけようとする:暴走族にとっての “特効服” 、ドラァグクイーンにとっての “女装” 、汚ギャルにとっての “パンダメイク” 、バイカーにとっての “革ジャン” 、ロリータにとっての “ロリータファッション” 。宗教よろしく1つの信念に基づいて集まった彼らは自分たちの “色” を守るため、外部からの侵入者に対してかたくなに嫌悪感を示すモノだが、どうもこの男・吉永マサユキには一味ちがった反応を示すようだ。数千人という連中がこの写真集の中に収まっているが、その誰もがしっかり前を向いてレンズと向き合っている。つまり、吉永と正面からキチンと対峙している。時には笑顔で、時には真剣に、時には無垢に。写真を少しでも撮ったことのあるヤツなら、コレがどれだけスゴいコトか分かるよな? 制服というペルソナで包み隠された彼らの素顔を見事に露呈させたってコトだ。



 ココで、アラーキーが昨年のPHOTO ISSUEで語ってくれたコトバを思い出してみよう:「元々アタシの撮り方っていうのは被写体とアタシのあいだで行ったり来たりする “情” を重要視してるんだけど、『夫婦で撮ってくれ』とか言われるだろ? すると向こうの情っつーか、向こうの関係性の方がね、強いんだよ。『あー、コレはオレとの関係を撮るのより、向こうの関係を撮った方がなんか出るぞ』って思わされたんだな。人間の本質かなんかにドンドンドンドン気づかされていくワケだよ」。作品よりも自分の露出度の方が高いアラーキーをしてそう言わしめるだけのチカラを持っているモノ、それが “人の絆” 。吉永の写真からはそうした姿勢も感じられる。アラーキーのコトバでコレを言い表すなら、 “写真を撮らせて頂く” ってカンジか。彼らが “写真家” から “街の写真屋さん” へと変わる瞬間だ(撮られてる方はスゲー贅沢だけど、撮ってる本人にとってもこの一時こそ、何事にも代えがたい貴重なオルガスムス分泌の瞬間にちがいない)。



 それからこの写真集を “読む” 上で誤解しちゃいけないのは、彼が単純にアウトサイダーだけを見せたいと思っているワケじゃないということ。例えばこの写真集の中には小学校のグラウンドで子供会の子どもたちを写している1枚があるけれど、コレなんか傑作だぜ。オレなんか思わず吹き出しちまったくらいだ。なんたってオレたちがガキの頃に毎年撮られていた、あの“集合写真”そのモノなんだからな! 画質といい、構図といい、 メガネをかけてベストを着込んだバーコードアタマのオジさんが撮ってくれたような、何の変哲もない集合写真そのモノなんだよね。“コレってマジで暴走族追っかけてた人間が撮る写真かよ?” ってカンジ。なんでこんな写真も混ぜるんだろうって思うだろうけれど、この1枚がなかったらこの写真集の出来も全然ちがったモノとなっていたことが推測できる。

 つまり彼は、マイノリティーだけを写すことが自分の使命ではないことに気づいたんだ。彼らをクローズ・アップするだけでは、彼らがマイノリティーであることを逆説的に証明しているようなモノだからな。そうではなく、あくまでも普通の人たちとまぜこぜで同じ1冊の写真集の中に散りばめてあげることが大事なんだ。それこそが “平等” ってヤツだろ? 写真集『族』を過去に彼が出しているのを見ても分かるように、当初こそ彼は暴走族にクローズ・アップして撮っていたものの、次第次第に “オレが撮るべきなのはコレだけじゃないのかも” ってコトに気づき始めたんだろう。まさに、田附がデコトラを追っているうちにその運転手へと興味の矛先が移り変わっていたようにな(コレに関してはVICE Fashion Issue 2008での彼の記事を参考にしてくれ)。



 要するに写真ってのは、どこまで行っても “人との対峙” なんだ。そしてその時に必要となるモノがなにか分かるか? 人間性だよ。技術なんて二の次、写真家はまずなによりも人間性を磨けってコト。コミュニケーションの結果が露骨なまでに写真に表れちゃうからさ。そしてもう1つ大事なのは、被写体を先入観で判断しないこと。常に写真家はニュートラルに、客観的に分析していくコトが大事だ。そして、テーマを絞ることは時に盲目となることを忘れちゃいけない。それに気づくためにも、未熟なうちに慌てて完成させないでゆっくり熟成させることも大事だ。つまりを時間をかけろってコトだよ。写真にはキッチリと過程が写り込むからごまかしは利かないからな。大器晩成の写真集の方が読み手にとっても楽しいに決まってるだろ?

5月9日(土)よりリトルモア地下にて写真展「若き日本人の肖像」が開催される。

http://www.littlemore.co.jp/



まがまがしいアイウエオ
西間木隼人
自費出版

カルタ形式で“(ぬ)濡れた手で 触ってしまい 感電死”といったようにブラックテイスト全開で進んでいくのがこの絵本。内容はと言うと……う〜〜ん、ちょっと病んでるってカンジ。絵は独特のテイストで大胆だしスキだけど、その、なんていうか、病んでるかも。キャラクターもどこか愛嬌があって憎めないんだけど、その、なんていうか、病んでるカンジ。キミがもし丸尾末広のマンガが大好きで「あ〜、アタシもかわいいオトコのコの目ン玉ナメナメしたい〜」とか独り言を言っちゃうような中野ブロードウェイ系フシギちゃんとしたら、この絵本はイケてるかもしれない。だけど『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』が好きな現実逃避型ダーク系オトメのキミは観ちゃダメだ。そういうコの場合、現実との見境がつかなくなって境界線が分からなくなっちまうからな。現在彼は、チャールズ・マンソンやイアン・ブレディ、サムの息子、ジョン・ゲイシーなどといった世界の有名殺人犯直筆の手紙をちぎって子供のカタチの人形を製作中らしい。それが完成したらまたオレたちに見せてくれるってさ。ウワッ、なんか寒気がしてきた!

http://www7b.biglobe.ne.jp/~hayatonishimaki/
http://shop.tokyocube.com/art-listings-brand.htm?b=2431




BRING THE NOISE
ANI
LITTLE MORE

写真とそれを紡ぐ人間の属性との関係性ってのは、つくづくおもしろい。写真は1枚だけじゃ “植物” みたいなモンだけど、それが集まって群れをなすことで “イヌ” になったり “ネコ” になったり、はたまた “クマ” になったりする。こんなカンジで進化を辿るのが写真ってモンだが、ミュージシャンの場合はちょっと特殊で、彼らの写真は “リズム” へと進化するようだ。

 この写真集を開くと、店の看板やカベのラクガキ、テレビのテロップなどといった、街に溢れる様々な文字を意識的に取り入れていることが目に留まる。まさにタイトルよろしく “街のノイズ” だ。それにしても一冊の流れが居心地イイ。 “コレはなにかカラクリがあるハズ” とニラんだオレは、何気なくこの写真集の中で自分の目に留まる文字をページ順に引っ張り出して並べてみたんだ。するとどうだろう、こんなのが出来上がった: “トラTokyo、黒黒鳳凰、目黒新築00! ジョイントジョギングKLASSIK、聖血性婦、俺ミラクル!” 。ホラッ、ノイズではあるものの、なんかリズムを感じるだろ? しかもスチャダラパーってコトで、ちゃんとラップ調。写真集でラップだぜ? ハンパないな! コレでこの写真集に同タイトルのシングルCDが付属されていた日には最高に笑えたぜ(もちろん歌詞はこの写真集に出てくるワードで)!

http://www.littlemore.co.jp/

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Skull and spiderweb tattoos? Check. Studded bracelet and bullet belt? Check. Karate bandana over greasy hair? Check. All the tough-guy accoutrements of a gang member in a movie from the 1970s? Check, check, check. The ability to actually fight even a tiny, little bit? Whoopsth.
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Not sure if this guy is an art dealer or a homeless person, but goddamn is he aging gracefully. Instead of shaving his head and trying to snowboard he’s come to terms with the fact that he’s from the 70s and he’s not trying to fuck with it.
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