THE IMMORTAL SAGE ENLIGHTENED BY PSYCHEDELICS

サイケデリックなドラッグ仙人

INTERVIEW BY TOMOKAZU KOSUGA
INTERPRETING BY LENA OISHI



VICEをただコレクションとして本棚にしまっているだけのヤツじゃない限り、コレを今読んでいるキミはRoe Ethridgeの写真に必ず目を通したコトがあるハズだ。彼はVICEお抱えのフォトグラファーとして、或る時はVICE FASHIONを、また或る時は作品を提供してくれている。だからみんなも彼の写真を必ず見ているってワケだ。

 彼の写真の特徴はと言うと、いつもバラバラな被写体の写真で構成されているというコト:人、動物、風景、建物の写真がゴチャ混ぜにミックスされているんだ。どれもバラバラで断片的で、一見小難しそうで戸惑う。だけど敢えて彼の作風を言い表すとしたら、 “抽象的かつ断片的であるにも関わらず、説明的でストーリー性を醸している” といったカンジかな。「ちょっと待って、なんかソレって矛盾してない?」と思ったキミ、ご名答。そう、彼の作品は矛盾しているんだ。だけどそれがなぜか成り立ってしまっている。こうした “水と油” のような二律背反の中で見事バランスを保つ彼の作品は、まるで “中国にそびえ立つ山で暮らす満1,000歳のコーンヘッドみたいなアタマをした中国の仙人が描いた画” みたいで、後ろ髪を引かれるような余韻を僕らの脳裏に残していく。オレは今回その真相を探るべく、ちょうどラット・ホール・ギャラリーで行われている日本初の彼の個展「Goodnight Flowers」をきっかけに来日した彼にインタビューを試みた。

やあ、Roe。いつもVICEに写真を提供してくれてありがとう。僕の中でRoeの写真って、 “アタマのイイヤツが色々悪いコトもやってきて行き着いた写真” っていう位置づけだったんだけど、実際はどうなの? Roe自身も作品同様にスゴく紳士的な雰囲気を醸し出していてスゴく平穏なカンジに見えるけど、それでも隠し切れていないブラックな面が僕には気になっているんだ。スゴくインテリなんだと思うけど、それと同時に色々悪いコトとかも今までしてきたでしょ? 若い頃は何をやっていたの?
ハハハ! キミが抱いた印象は実に的を得ていて、確かに悪いことをよくしていたよ。両親が信仰深い人たちだったから、幼い頃こそ悪いモノに手を出すことはなかったけど、高校に入ってから酒やクサを吸い始めた。それからフロリダ州の州立大学に入ったんだけど、その頃はコカインやLSDにハマっていたよ。最終的にリハビリセンターに入院しなくちゃいけなくなったほどだ。



なるほどね。その頃から写真は撮っていたの? そしてそれはどんなテイストの写真だった?
ああ、その頃はラリー・クラークみたいな “友達がドラッグをキメてる様子” なんかを撮っていたよ。もちろんアート・フォトも撮っていた、コンセプチュアルなモノとかね。例えば、 “一度火事にあって廃墟になったビルの中で見つけたカレンダーにラッカーを塗って光沢をつけた後に、それをまた木に取り付ける” とか、そういったフォーク・アートをやっていたよ。

ラリー・クラークのテイストと今のRoeの写真って全然テイストがちがうけど、今のテイストに至るまでにはどんな過程があったのかな?
22年前のことだからそんなに覚えてないけど……そうだな。18歳の頃は、春休みにフロリダのパナマビーチに遊びに行ってコカインやアシッドをキメちゃうとどうしてもラリー・クラークみたいな写真を撮ってしまっていたけど、その後はドラッグもほとんどやってないんだ。だからそのくらいの時期が切り替わりのきっかけだったと言ってもイイかもしれない。その後はアーティストとして写真に真っ向から向き合いたいと思う様になった。

それにしてもRoeはバラバラな被写体を撮った写真で1つの展示や写真集を構成している:人、動物、風景、建物。こうした構成って、得てして写真家の意図や想いが伝わらないという理由で一般的に敬遠されがちだけど、Roeの場合は全体的なバランスの調和がイイし、なによりも眺めていて居心地がイイ。 “誰にでも出来そうで出来ないこと” をやってのけているよね。コレはどういった心がけで取り組んでいるの?
このプロセスは自分で編み出したモノなんだ。それまでは或るテーマや論理に沿って写真を撮りに行くプロジェクトをよくしていたけど、或る時そのやり方では詰まってしまった。そこでどうにか自分で自分を解放させる方法を模索した結果、無理やり自分で方向性を決めるのではなく、自然な成り行きで作品作りをするといった撮り方をするようになった。色んな写真の組み合わせで展開しているのは、別にブルジョアの連中にショックを与えたいとかそういった魂胆があるワケじゃなくて、ただ単にそれらをバランス良く見せたいと思っているだけなんだ。

じゃあRoeの作品全般における普遍的なテーマって、なんなの?
友達のジョンが曰く、 “アバンノーマル” らしいよ。 “アバンギャルドだけど普通、普通だけどアバンギャルド” みたいなね。オレもそれはしっくり来るなと思っているよ。



Roeの作品ってやっぱりどうしても難しそうな印象を受けるから、人からもなかなか理解されにくいんじゃないかと思う。今までの反応はどうだった?
ニューヨークで昨年9月に個展を開いたんだけど、その時はみんな興味を持ってくれたね。確かに僕のミックスされた色んな写真を初めて見ると最初はフシギに感じるみたいだけど、写真の流れや組み合わせ方を飲み込んでいくうちに、一貫したムードや考え方がだんだん理解できるようだ。個展でも最初はみんな戸惑っているけど、そのうちみんな理解してくれてスゴく好きになってくれるね。

そう、ホントに僕もそんなカンジだったんだよね。でもRoeはもしかして、展示なら展示全体で、あるいは組写真なら組写真全体で1つの作品として捉えているのかな?
僕の作品は “音楽みたいなモノ” だと思って欲しい。たとえば、アルバムを作る作業と同じなんだ。1ヶ月後にロンドンで展示をするんだけど、その時は今回ラット・ホール・ギャラリーで展示した花の写真と馬の写真を、またちがう写真と組み合わせて展示する。そうやって要素を入れ変えていくことによって、またちがった新しいムードを作り出しているんだ。だからバリエーションはエンドレスなんだよ。その時その時の組み合わせ方によって、色んなムードや感情を醸すことが出来ると僕は考えている。僕にとって作品作りとは、色々な人たちとのコラボレーションに依るモノが大きいんだ。今回も、展示に際してラット・ホール・ギャラリーのみんなと一緒に写真集を作るためにコラボレーションして1つの作品を作ったと思っているし、VICEのために写真を撮影する時にも、ジェシー(VICE MAGAZINE US編集長)と一緒に話し合いをした上でのコラボレーションをしている。そういうカンジだと僕は思っているよ。

確かに一枚だけでも説得力があるし、それぞれから色んな想像を引き立てるストーリー性を感じる。たとえば今回の展示の写真の中に朝焼けの写真があるけど、僕には “ドラッグやお酒でパッパラパーになった次の日の朝のキモチイイ朝焼け” みたいにも見えるんだよね。
僕は、過去の作品やプロジェクトを断片的に使うということをやっているんだ。それはまるで “昔の物語からあるキャラが戻ってきた” かのような感覚で。そういった文学的、あるいはさっきも説明したような音楽的側面から僕の写真を理解してもらえるとイイ。それから、 “なにかの過程” というのも僕の写真は表していると思っている。だからストーリーがあったとしてもそれはあくまでも短いモノで、全体的なストーリーラインは断片的にしか見せていないつもりだ。



 ちなみこの写真は朝日じゃなくて実は夕日なんだよ。夕日って、一般的に誰しもが撮りたがる対象だから一度撮ってみたかったんだ。過去に “月の写真” シリーズをやっていたから、その反対のモノとして太陽を撮ってみたかったというのもある。コレを撮ったのは或る休暇の最後の日のことだったんだけど、その休暇がとにかくつまらなかったんだ。だから “ようやく帰れる!” と思いながら撮っただけに、その気持ちが込められている。そういう意味でも、スゴく美しい夕日だと思っているよ。

ジェシーがRoeの写真のコトをこう表現していた:Roeの写真は、クサを吸った時と同じくらいのオドロキと混乱状態を感じさせる強いインパクトを持っている、ってね。それを聞いて僕は “そうか、そんな写真の見方があったのか!” とビックリしたんだけど、日本じゃクサは吸えないでしょ? だから僕もキマリながらRoeの写真を見ることが出来なくてとても残念だよ。そしたらもっとちがう印象を感じることが出来たかもしれないのにね。
ああ、そうらしいね。ホントにモノスゴくサイアクだと思うよ。ホントに古くさくてアホらしいと思う。ある人から聞いた話では、日本でも第二次世界大戦の前までは合法だったらしいね。だけどアメリカ軍が侵略してから違法にしてしまったと聞いた。その点に関してはホントに申し訳ないと思うよ。ホントに下らないと思うね。僕の写真にはサイケデリックな視点がけっこう潜んでいて、今回の写真でも例えば花の写真やパラソルの写真は、ハイになっている時に見ると色んなモノが見えてくる仕掛けになっているんだよ(笑)。

Roe Ethridge写真展「Goodnight Flowers」はラット・ホール・ギャラリーにて2/20 - 4/26まで開催中。めくるめくサイケデリックな彼の作品をみんなも体験してこよう。

Roe Ethridge
「Goodnight Flowers」

February 20 - April 26
12:00 - 20:00 (Closed on Monday)
Rat Hole Gallery
5-5-3 B1 Minami Aoyama Minatoku Tokyo
107-0062 Japan
tel. 03-6419-3581 fax. 03-6419-3583
www.ratholegallery.com


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Subject: 展示
Date: Mar 19 2009 06:05:02 AM
Author: someone

いってきましたー。



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